パドヴァのチェントロ、鉄道駅から街の中心部へ行くその入口付近に位置するレストランです。1856年にトラットリアとして創業、1987年以降、現在のオーナーであるヴェルニVerni家にて守られている店で、その古い歴史ゆえ、地元の人々に大変に浸透し、親しまれているパドヴァの名店のひとつです。
パドヴァのレストランとしては歴史的にも古い店ですが、当時の店の外観を見るとstallaggio(スタラッジョ)と記されている通り、ここは馬屋として、宿場として使用されていたそうです。馬を休ませ人も宿泊できる宿泊施設の一角の食事処。現在、宿泊施設は4つ星のホテル・ヨーロッパとなり、ホテルレストランとしての機能も果たしています。
ホテル付属のレストラン…と思っていて正直なところ、あまり期待はしていなかったのだですが、改めて食事をしてみるとそれは大間違い。
メニュー構成は季節のメニューとヴェネトの郷土料理とに2分されていて、メニュー表にもページを分けてそれが明確に表記されています。
季節のメニューは時期の野菜をふんだんに使った魅力的料理。ヴェネト料理のページを見ると、どれもこれもの馴染みで正統派。地元料理を知るにはうってつけのメニューです。
ヴェネトの定番、戻して茹でた干タラにオイルを少しずつ攪拌してパテ状にするバッカラ・マンテカートやそれを牛乳で長時間煮込むヴィツェンツァ風、バッカラ・アッラ・ヴィツェンティーナなどは安心していただける美味しさ。仕上げ方と盛付けにて軽やかな仕上がりです。 他、定番料理としてはいんげん豆を濾してスープ状にしたパスタ・エ・ファジョーリ、仔牛のレバーをたまねぎで炒め煮にしたフェーガト・アッラ・ヴェネツィアーナなどの定番メニューも絶品だとか。
デザートはカレッロ(ワゴン)にて提供されます。どれもこれも同店の厨房で手作りされたもの。その日の焼きたて菓子、豊富で色とりどりの季節のフルーツが満載されています。
とにかく、どの皿にも安定感があり、安心して美味しいものがいただけるのは非常に嬉しいところ。当時を忍ばせるのは、店の造りで、内装などはこぎれいにアレンジされているのは、少々残念な感もありますが、ゆったりとした空間は昼間はビジネス客、夜も地元の多くの人で埋まる評判の店です。
店の歴史とともに歩む、ホールを仕切るプロのサービスマン、マリオさんの仕事ぶりも見もの。現在の同店オープン時はもちろん、前身であるトラットリア時代からこの店で働くサービスのプロ中のプロです。
Ristorante Zaramella