イタリアを代表するドルチェとしてあまりにも有名ですが、諸説ありながらもその発祥はヴェネトにあるとされています。
トレヴィーゾには、ティラミス発祥だとされているレストランもあります。
使用する材料は、卵、マスカルポーネ、砂糖、そしてサヴォイアルディ。現在では、クリームを加えたりして口あたりを滑らかに、形を変えた進化型などもありますが、老舗の味はいつも変わらずシンプルなままで健在しています。
トウモロコシ粉を使ったビスケット。
トウモロコシ粉由来の黄色い色と素朴な口あたりが特徴です。その名の由来はイタリア語の黄色にあたるジャッロGialloが変化し、ジャレットGialleto→ザエッティZaetiとなったと言われています。
これもトウモロコシを使った焼き菓子です。
ロンバルディア州マントヴァからヴェネツィアにかけて伝わる菓子で、フレゴロッタFregorottaとも呼ばれます。トウモロコシと小麦粉、アーモンドの粉にバターや豚の脂を混ぜて平たく焼きあげます。端からボロボロと割りながら食べる大変素朴なものです。
ヴェネツィア代表の歴史のある焼き菓子。
薄くて平たい形が魚のバイコリ(ヴェネツィアの方言でスズキの小型種のこと)に似ているから、という名の由来もあります。
生地を太い棒状にしてオーブンで半焼きにし、それを薄く切ってさらにオーブンで焼く、という本来の意味のビスコットともいえます(ビス=2回、コット=焼く)。
バイコリは、マルサラの効いたザバイオーネなどの横に添えられ、それをすくいながらいただく、という食べ方が正統派。
2度焼きして日持ちもすることから、ヴェネツィアの貴族の航海の際に重宝されたものでもあります。
パドヴァのトルタ(ケーキ)です。
パン・ディ・スパーニャ(スポンジケーキ)の間にザバイオーネ、チョコレートを挟み、トルタの周囲にさらにザバイオーネを塗る。上部と側面に薄く削ったチョコレートを飾りつけたものです。
名前の由来としては、このトルタをつくりあげるのに非常に手間がかかるため、“辛抱強く(パツィエンツァ)”という意味からきたものだ、と言われています。
フォカッチャというと、ピッツァ生地からなるパンをイメージしやすいでしょうが、ヴェネトでは甘い発酵させたパンのことを総称してこう呼びます。特にナターレのパネットーネやパンドーロの出回る時期、そしてパスクワのコロンバなどの時期になると丸くて大きなきのこ雲のような形をしたこれらのドルチェを多くみかけるようになります。 他発酵菓子と同様、粉と卵、砂糖、そして酵母を混ぜた生地を何度も発酵を繰り返すことによりモコモコと膨らんだ形に仕上がるものです。一般的には生地には何も入っていないことが多く、表面にアーモンドや砂糖で覆われています。
見た目にもかなりクラッシックな素朴なドルチェです。ドルチェというよりパン・ドルチェというのでしょうか。
干ブドウや干イチジク、砂糖漬けのフルーツに粉やトウモロコシの粉、バター(もしくは豚の脂)、砂糖、そして香辛料などを混ぜてずっしりと焼きあげるもの。
ドルチェというには非常にボリュームがあるので、食事代わりに食べられていた、とも言われています。
今やイタリアのナターレ(クリスマス)の菓子としてパネットーネとともに広く知られている高さのある円錐状の星型をしたパンドルチェ。ここヴェネト州ヴェローネがその発祥とされています。
小麦粉、卵、砂糖、酵母を合わせた生地を発酵を何度も繰り返すことにより、ふんわりとしながらしかもしっとりとした独特の食感のあるものです。焼き色で覆われたシンプルな見た目とは違い、中を割るとたっぷりの卵を使うことからくる黄金色が鮮やかです。パン・ドーロPandoro=Pan d’oro(パン・ディ・オーロ/オーロはイタリア語で金色の意)という名も、この輝く黄金色からきたものです。
とはいうものの、パンドーロの起源には諸説はあります。
ひとつは16世紀のヴェネツィア。貴族たちの食卓にのぼった甘いパン・フォカッチャが金箔の薄い紙に覆われていたことから“パン・デ・オーロ(黄金のパン)”と呼ばれた、とのこと。
そして、ヴェローナに伝わる古いリチェッタにある“ナダリンNadalin”という星型に近い形をした、やはり発酵させるドルチェ。これがパンドーロの原型だとか。
さらには、18-19世紀、オーストリアのハプスブルグ家から持ち込まれたという説。ヴィエンナ(ウィーン)に伝わる“パン・ディ・ヴィエンナ”がそのベースになったのでは、とされています。
いずれにしても、ここ中世以降のヴェネトで生まれた発酵タイプのパンドルチェですが、これらがナターレのドルチェの定番になるには、1900年代以降の工場生産化がされるようになったことが大きなきっかけでしょう。これは、ロンバルディアが起源とされるパネットーネと同様な動き。現在でも、ヴェローナ周辺には、パネットーネやパンドーロで有名な何社かの工場が見かけられます。
サッビオーザという名は、このお菓子の口あたりからきます。サッビオーザとは”砂のような”という意味で、食べてホロホロと崩れるような食感からくるトルタ(ケーキ)だから。
この独特の食感は、ジャガイモのでんぷん粉を材料に使うことから。小麦粉とジャガイモでんぷん、砂糖、卵を合わせた生地をパウンドケーキのような長方形または丸い型で焼きあげます。
パドヴァからヴェネツィアにかけて知られる菓子ですが、ヴェネツィアのラグーナから広がる砂地をイメージしたお菓子のような感じもします。見た目は非常にシンプルですが、独特の食感とその名前に魅力を感じさせられます。
冬の終わりを告げるカーニヴァルに欠かせない菓子です。ナターレ(クリスマス)のイベントの終わる1月初旬から一斉にカーニヴァルの時期まで街中のパン屋や菓子屋の店頭に並びます。
これは、いわゆる揚げドーナツのようなもので小麦粉に牛乳、砂糖、酵母を合わせて油で揚げます。ドーナツとは書きましたが、ドーナツとは言い切れないようなモチッとした独特の口当たりが特徴です。
形も大小あり、ゲンコツ状のものから一口大のものまで。そして中身にはカスタードクリーム、ザバイオーネクリーム、チョコレートクリームなどが入っています。中にクリームのないものは生地に干ブドウや松の実などが混ぜこんであるものもあります。
これもカーニヴァルの揚げ菓子。小麦粉、卵、砂糖、バターを合わせた生地を薄くのばして四角く切り分け、油で揚げたものです。仕上げには粉糖をたっぷりかけます。
フリッテッレも含め、これら揚げ菓子は昔は植物油ではなく豚脂で揚げていたものであったから、かなりずっしいとしたものだったと想像されますが、現代のものは口当たりもサクッと軽く、また最近では油で揚げずオーブンで焼いて仕上げたものまで出回っています。これには反対派も勿論いますが。
イタリア各地、カーニヴァルの季節に見かける菓子ですが、各地方により呼び名の変わります。ここヴェネトでは一般的には「ガラーニ」と呼ばれますが、他「クロストリCrostoli」、「スフラッポレSfrappole」、「チェンチCenci」、「ブジエBugie」等。地域が変わると形も変わったりします。